はっぴーらいふ

ラグナロクオンラインのギルメンや自キャラの徒然ストーリーやオリジナル小説など
榊とうるの創作小説ブログ

RO小説 たとえばこんな誕生日の風景その2

走って、走って。
たどり着いた先はプロンテラ首都郊外の一軒家
深夜だというのにテンパった俺はその家のドアをドンドンと叩いた。
しばらくして
「うるっせえな!何時だと思ってるんだ!新聞の勧誘ならお断りだぞ!!」
くるくるの銀髪を掻き回しながら出てきたのは半裸のハイプリーストが現れる
「って、せくら?!どうしたんだよこんな時間に」
「うわああああん、ノア先輩助けてくださいいい」
「えっ?!えっ?!!何があったんだよ?!せくら!」
俺が駆け込んだ、このハイプリーストは
マグノリア先輩
木蓮を意味するその名前があまり得意でないらしく、本人は略称のノアを周囲に呼んでもらっている。
俺がアコライト時代にお世話になった先輩だ
アコライトは一人前になるまで、一人の先輩の補佐役としてつけさせてもらい、様々なことを学ばされる。
いうなれば、この時に専属になってくれるプリーストによって、その後の聖職者人生が決まってしまうと言っても過言ではない。
高速詠唱を得意とし、様々な大人数のパーティーの支援の要として活躍していた先輩の側にいたから、今の俺が武器としている高速詠唱スキルや立ちまわりを覚えたと言ってもいいのだ。
色々と問題も起こしてくれたが、俺が非常事態に助けを求めるのはいつもこの人だった。
ノア先輩は深夜に駆け込んだきた俺を
何が何だか分からないままにも、家に上げてお茶を入れてくれた。
 
半裸だったのは、先輩の彼氏との事の真っ最中であったらしい
情報が遅れて申し訳ないが、先輩は男性とお付き合いをしている。
恋人は、AGI型ルーンナイト
プロンテラ騎士団に所属し、どうやら貴族の家の出らしいということしか知らないが、とても仲の良い二人に俺はいつも、正直いいなあと思っていた。
羨やましいというほどでなく、この二人をいいなあと思うのだ。
「えっと、すみませんなんか、そういう時に押しかけちゃって」
俺が謝れば
「まあ、それはいいから!」
さすがに恥ずかしいのか、顔を赤くして怒られる。
「それで、せくら君。どうしたんだい?君がこんな時間にくるなんてよっぽどなんだろ?」
ノア先輩の相方である、レイさんがノア先輩のとなり、俺の斜め前に座って聞いてきた。
さすがに室内なので二人ともラフな普段着だ。
ノア先輩を見れば、話すことを促されるように頷かれ
俺は先ほどの出来事を二人に話して聞かせた。
 
しばらくの沈黙の後
「そりゃ、お前が悪いわ。せくら」
片目に虹彩の入ったオッドアイの青い瞳が、バッサリと言う
「うう、ですよね」
テーブルに突っ伏して項垂れれば
「大体、付き合おうって言われて、どこに?とかコントじゃないんだから、なあ?」
ノア先輩が傍らの相方にそう聞けば、
「いや、貴方だって昔私が告白したときそんなこと言いましたよ?」
と、呆れたように返されている
「なんていうか、似た者師弟ですね……」
呆れたようにレイさんがいえば、そんなこともあったっけ?とノア先輩は嘯いた
「まあ、なんにせよ」
レイさんは笑って俺を見て
「せくら君がいいとか悪いとかより、どうしたいか、じゃないですか?」
「俺が、ですか?」
両手に挟んだマグカップのなかの紅茶が揺れる
「ええ、せくら君がその、守門君にたいして如何したいか、どうありたいかが重要だと思いますよ?」
「俺、俺は……」
つぶやいて、カップの中を見つめる。
カップの中身は高級な紅茶なのだろう、奇麗な赤色をしていた。
少しだけ、守門の髪色に似ていて彼を思い出す。
「俺、俺は、わからないです。守門のことは嫌いじゃないし、だけどなんか、だって最近まで初心者だったと思ったのに、いつの間にか三辞職になってて、俺の隣にいて……
嫌いじゃないけど、そんな、好きとかは…まだ……」
「なら、そう言ってあげるのが今は一番だと思いますよ」
「そうだぞ、可能性がないわけじゃないことを伝えてやれ!」
ノア先輩とレイさんに背中を押され俺は立ち上がる
「有難うございます!少し納得しました」
「うん、それならよかった、どうずる?たまり場まで送ろうか?」
レイさんがコートを羽織ろうとするのを俺は止める
「大丈夫です、ここからたまり場まですぐですから、このまま歩いていきます」
「そうか、気を付けろよ?」
笑顔で送り出してくれる二人に手を振って俺はたまり場に向かって駆け出した。
 
銀色の髪と、その上でゆれる天使の羽を見送りながらノアは呟く
「そろそろ、せくらも新しい春が来てもいいころだと思うんだよな」
「そうですね、前の彼氏さんと別れてけっこうなりますっけ?」
「うん、五年ぐらいかな」
「守門君がせくら君のいいパートナーになってくれるといいですよね」
「だなあ」
欠伸をしながらそろそろねるかーと言いながら二人は家の中に入る。
 
俺はそのままたまり場へ向かえば、川ぺりに守門が座っていた
けっこうな距離があるのに、俺の気配を察したのか振り返り、こちらと視線が合う
「おかえりなさい!せくらさん」
「た、ただいま」
「心配しましたよ、急にポタで駆け出すから」
「う…うん、ごめん」
うう、きまずい
どう言ったものか逡巡していると、守門の方から切り出してきた
「ねえ、せくらさん。
さっきのことなんですけど……」
「う……あの、あのな。その……」
「せくらさんが嫌なら、俺なかったことでいいです、困らせてしまってごめんなさい」
そんな風に謝る守門
「ちがう!嫌じゃない!!」
そんな風に言い出す守門の言葉を俺はさえぎった。
 
 
 
 
つづきますーー!
続きは今日か明日にはUPします!
 

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