はっぴーらいふ

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榊とうるの創作小説ブログ

Geain7 BL注意 ラグナロクオンライン2次小説 冬コミ30日東32b

RO小説 Geain7 最終話 死にネタ注意 BL注意


特に誰からも何も言われていないので
きっと大丈夫だと思いますが
完結してました
すみません
長くお付き合いくださった方ありがとうございました


読みにくい箇所多々あると思います
今回はかなり長くなってしまいました
よろしければ最後までお付き合いください


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



俺が、タナトスの調査を終えて、家にかえったとき、室内に違和感を感じた。
いつもなら、半日も綺麗に持たない部屋が、出かけたときのまま綺麗になっている。
シーツが引きずられたようにベットから落ちているのは、アシェが寝起きに落としたものだろう。
「アシェただいま」
家の中を、あちこち見てアシェを探しながら、ギルドのエンブレムを付け直したとき
怒涛のように、ギルドチャットが流れてきた
『ガルム!!!とりあえず、お前戻って濃い!
ギルドマスターの朱里の声
『朱里頼む早く着てくれ!アシェのPT情報が消えた!
ガルムの悲鳴のような絶叫
『消える直前の場所は?!
アルファルファが叫ぶ


何…
アシェがどうしたって


『朱里さんアシェがどうかしたんですか
俺がGチャで呼びかければ
『ゲイン!!!戻ったのか、大変だアシェが…』
珍しく、ギルマスの焦った声が聞こえる。
『ゲイン今すぐグラストヘイム城Fにきてくれ!!アシェが彷徨う者に攫われて行方不明なんだ!
ガルムの叫びが聞こえ終わる前に、俺は家を飛び出していた。





グラストヘイム古城F---------


俺が現場に辿り着いた時、ガルムが俺の元に駆け寄った、G情報を見て到着を知ったのだという。
全身の裂傷と壊れた鎧が、戦いの激しさを伝えた。
利き腕からは小手を伝って大量の血液が滴り落ちていて、最早まともに剣を持つ事が出来ないのは、一目瞭然だった。
俺は、満身創痍のガルムの声をかける
「ガルム、貴方はもう戻って治療を受けたほうがいい」
力なくガルムは首を横にふる
「パーティー表示にアシェの居どころが表示されないんだ、気を失ってるならいい……だけど、あの状況じゃ……」
ガルムの様子から、最悪の事態を想像する。
いや、想像したくなくても、予想してしまう


名前の消えたクリスマスリング


その意味は
その製作者が、この世から消えたという事……。


「ガルムはここに居てください、もうすぐ救援隊がきますから、俺はテレポで探します」


幾度もテレポートを繰り返して、何度もアシェの名前を叫ぶ


生きていてくれ
祈るように、願うように、俺はアシェを呼び続けた。
「アシェーー!!返事をしろ
何度目のテレポ着地を繰り返しただろう、テレポートしてその場に敵がいれば切り伏せる。
いつもとなりにいてくれるアシェはいない、アシェの支援がないことが、コンナに不安に思ったことはなかった。
城の大広間に舞い降りて、辺りをみわたせば
ふと、小さな光が自分の前を横切った。


「蛍
こんな所に
訝しんで、その儚い光を目で追えば。
どくんっと心臓が止まる。
大広間の中央に、どくろと骨が散乱した場所があった。
いや、それだけならよくある光景なのだが、その場所がら引きずったような、太い血の後。
まるで、血まみれの人間が這って移動したような……。
まるで、自分の心臓が耳元にあるような感覚。
違う違う違う
何が、か。
何をか…


ただ胸の早鐘は静まらない
違う……
アシェじゃない!!!


その後を、目で追えば
小さな革靴が、崩れかけた柱の下からかすかに覗いていた。
心臓が、早鐘のように打ち聞こえる
どくん、どくんと、耳障りな音。
自分は、ここにいるのか
「あ…アシェ
掠れた声は自分のものだろうか
しかし、自分の声で金縛りがとけ、動けるようになり、その場所に駆け寄れば、最初に眼に入ったのは、柱の影で、黒くうつ伏せになった華奢な足。
敵にも、味方にも見つけにくい、斜めに倒れた柱の側で、かすかに入る月明かりに、銀色の後頭部が僅かに反射する。
恐る恐る、声をかけ、一歩ずつ近寄れば、アシェがうつ伏せで倒れていた。
先ほどの蛍がいなければ、コンナ場所は見つけられるはずがなかった
「アシェッ!!!
俺は、弾かれた様に駆け寄り、抱き上げた。
抱き上げた、アシェは眼を開けたままだったから、最初未だ息があるのかと思った。
「アシェ!大丈夫か?!今、皆が来るから!しっかりしろ?!!
物言わぬ唇、かすかにも動く事の無い体、肩から腰にかけて背中からの刀傷、腹部に数本刺さったままの矢と、両手剣
「アシェ
腕の中で、全く動く事ない彼に、呼びかける
「アシェもう、大丈夫だぞ俺が着たんだ一緒に家に帰ろう


削れた指輪。
名無しになったクリスマスリング



だけど…信じたくは無かった。



アシェは、眼を開いたまま、息絶えていた。


血に塗れた握り締めた手には、何度も青石を潰したのだろう、青い宝石の粉がびっしりと付着していた、その手の中にも、1つ。
硬く握り締めた手が、詠唱の途中で絶命した事が知れる。
口と、鼻から溢れた血液が銀の髪を汚し、かつての輝きはない。
強張った手と、見開かれた瞳が、最後まで彼が戦っていた事を物語っていた。
完全支援型プリーストのアシェが戦える方法は、限られていたはずだ
それでも、必死に戦ったのだろう。
あの広場の髑髏や、骨はアシェが必死に倒した彷徨う者や、レイドリック達の成れの果てだと予想できた。
セフティオールと、ホーリーライト、ヒール砲、使える支援スキルの全てを駆使して、アシェは戻ろうとしたに違いなかった。
敵にも味方にも見つけてもらえなさそうな、柱の影まで
必死で這って、身を隠して。
最後の石は、自分が帰る為のポタを開こうとしていたのかもしれない。
小さく開かれた口は、詠唱の途中だったのだろうか


「うわあああああああああああああああああああっ!!!!!!


慟哭というのは、きっとこんな叫びなんだろう
「あああああああああああっ!!!アシェーーーーッ!!!



もう、動かない彼を。
きつく抱きしめて叫ぶ
「約束したじゃないか、帰ったら、お前の誕生祝をするって!!!
なのに、ちゃんと材料だって買っててあるんだ、お前が喜ぶようにって
なあ、ちゃんと俺を見ろよ!目を開けてるなら、見てくれよ、アシェ!!
自分を映さない、空色の瞳を覗いて、怒鳴るようにアシェにいう
いくら怒鳴っても、叫んでも。
奇跡は起きない。


神様は、いなかった




君に会えてよかったと。
そう思えるようになるまでに、少し沢山の時間が必要だった。
俺は君を護りたかったし。
君も、俺と離れるつもりなんてなかっただろう




最後まで、俺の元に戻ろうとしてくれた、砕かれなかった青い石が
今日も、俺の胸元で細いチェーンに繋がれて小さく光る。



アシェが亡くなって半年。
白い小さな墓石を訪れるのは、俺の毎日の日課だった。
一人になるのが嫌いな君を、一人で逝かせたことの後悔。
君はちゃんと天国の門をくぐれただろうか
一人でないては居ないだろうか
夢にすら出ない、君の事を
思っては、悔やむ日々。


今日もまた、墓参りをすませ、臨時を覗いてぶらぶらと歩き回る。
ふと、今日が君とであった日だと言う事に気がついた。
プロンテラ西の門の側
小川のせせらぎの聞こえる場所で、俺はクリーミーに負けて転がっていたんだっけ?
君は、転がった俺を少し笑いながら、イグドラシルの葉で起こしてくれた。
あの時、君に出会えたから。
今の俺がいる。
あの時、君が差し伸べてくれた手を、今も確かに覚えているよ。


西の門に向けて、歩を進める。
久しぶりに、あのあたりを散策するのもいいかもしれない
そんなのん気な事を考えながら、門をくぐると


「…昼間っから…」
現場は阿鼻叫喚のテロが起きていた。
プロンテラの中央とちがって、人通りも少なく。
鎮圧に時間がかかっているようだった
愛用の剣をすらりぬき、目の前に立ちはだかる深遠に切りかかる
「速度増加!!ブレッシング
と、予測していなかったところから、支援が飛んできた。
「すまない助かる!
俺は支援者の顔を見ずに礼を言い、次々と敵をなぎ倒す。
その間も、速度とブレスは切れることなくかけ続けられ、ヒールの祝福も、たえる事はなかった。
(ちょうど前衛の俺と、プリーストさんが居てよかった)
そう思いながら最後の敵を叩き潰し、額の汗をぬぐって、支援と祝福をくれたプリさんにお礼を言おうと振り返れば。
ばたんっ!!!


その場にいたのは、まだ幼い少年アコライト
「ちょっ大丈夫か?!
その場に倒れこんだ彼を抱きかかえ顔を覗き込む
「うーん…多分大丈夫です、魔法こんなに連続して使ったの初めてだったんで…」
少年のまわりには、精神力回復で食べたのだろう葡萄やレモンの皮が転がっていた。
そこまでして、辻支援をしなくても良いのに……と、思いながら、倒れた彼を抱えあげ木陰に寝かせてやり傍に座り、落ち着くのを一緒に待つ。
いくら人通りが無いとはいえ、道の真ん中で、一人で倒れるのは誰だって恥ずかしいだろう、ましてや原因が自分への支援では、コレを見捨てては騎士としても人間としてもダメだろう。
そんなことを考えながら、座っていると。
彼はしばらくして落ち着いたのか顔を上げて、その場に正座しりペコリと頭を下げる。
「付いててもらって、ありがとうございます。」
その顔を見て、俺は息を呑んだ。
日に透ける銀の髪、柔らかな青い色彩の瞳……。
あぁ、でも。
君のほうが、春の空の色なら、彼は初夏を思わす少しだけ深い青。
海の色かもしれない 。
そう、かつてのアシェそっくりな少年がその場にいた。
黙って見つめる自分を不審に思ったのか、彼は小さく首を傾げて俺を見る。
「あの……
「あぁ、すまん。知り合いに余りに似ていたから、驚いた、俺はゲイン、ゲイン=アルファード君の名前を教えてもらえないか
あの日と同じ場所で、彼は笑って答えてくれた。
「僕は、せくらっていいます」
いつか、君に聞かせる事が出来るだろうか
俺は君に出会えて本当に幸せだった。
これからも、君を亡くした痛みと、悲しさと、後悔は消えることはないと思うけど。


「せくら、いい名前だな」「ありがとうございます」それじゃあ、と立ち上がるせくらの腕を、俺は咄嗟に掴み引き止める。
あ、あの…」
怪訝な顔をするせくらに、俺は意を決したように、言った。
「良かったら、今から出かけないか



見てみたかった。
君によく似た彼が、幸せになるところを
君に、面影を重ねていたと言われると。
否定は出来ないんだけど、でも彼が、君とは似つかない事は、本当は俺が一番分かっていたよ。
あの日の思い出をなぞるように、生きてきた。
ああ、俺は。
君たちに出会えて本当に幸せだった。


だから、どうか…


「ゲインさんっゲインさんっ!!目を開けてください
うっすらと目を開ければ、銀の髪を振り乱して、せくらが叫んでいる。
隣に立つ緑の髪の騎士が、せくらの肩を抱いていた。
それを見れば、俺は安心して微笑む。
蒼い瞳からぽろぽろと零れ落ちる、透明な雫。
ああ、もう。泣くなよ
お前達なら、きっと良い冒険者になれるから………。
ゆっくりと、せくらの頬に手を伸ばし、その雫を拭って。
俺はゆっくりと目を閉じた。


もしも、もう一度生を与えてもらえるなら。
例え同じ運命だとしても、俺は君と生きたいと思うよ………。
アシェ、愛してる。



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