はっぴーらいふ

ラグナロクオンラインのギルメンや自キャラの徒然ストーリーやオリジナル小説など
榊とうるの創作小説ブログ

たんぽぽのブーケ

お友達のキャラと相互でお話を作りました。
リレー形式で意味不明かもしれません。
ちなみに設定的には今連載中のせくらさんと守門ちゃんがであうより前のお話しです


基礎知識として
友人キャラ
零音=アサシン
ニー=騎士
恋人同士


うちのこ
アシェ=プリースト
ゲイン=騎士
恋人同士

せくら=プリースト

零音にはお兄さんがいて、お兄さんとグラストヘイムに狩りに行ったときにMHに巻き込まれ、お兄さんは死亡
零音も片腕をうしない車椅子生活になってしまった。
零音はニーに引き取られ生活することになった。


っていうところからのバトンでした。




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たんぽぽのブーケ


木蓮が死亡し、零音が大怪我をした時
アシェと、ゲインはアイン地方遠方の視察に出かけていた。



戻ったときには、零音は退院し、ニーの家で暮らすことが決まっていて。
視察の報告をするため、プロンテラ城に立ち寄ったときに、零音や木蓮、ニーのことを知ったのだった。
話を聞いたとき、とるものもとらず、アシェは二人の家に駆けつけた。



扉を開けたアシェの目に最初に映ったのは
零音の変わり果てた姿。


「零音…」
零音の無くなった腕や、車椅子に載った姿を見て、アシェは一瞬、言葉をなくす。


でも、傍らに立つニーが寄り添う姿を見て、それでもほっとした表情を見せ。
零音の側に膝を立てて、顔を覗き込み、そっと抱きしめて
「零音が、生きててくれてよかったです」


アシェがそう言って抱きしめると、零音は小さく首を振る
まるで、自分が生き残ったのは罪であるかのように。
その姿を見て、アシェは辛そうに眉よせ、零音の額に自分のおでこをくっつけた
「僕は、零音が生きててくれてよかった、本当の気持ちだよ
そして、あの日、初めて会った時のように、そっと頬に触れる
「零音、生きててくれて有り難う」
静かな、アシェの言葉は最初の出会いのときとかわらず、決して慰みや哀れみではない、本当の言葉
零音は静かに、アシェの手に頬寄せて涙を流す。
アシェも、零音を抱き寄せて、静かに零音の背中をなぜる
黒い法衣に、幾つも、零音が涙の染みをつくった。



本当は、プリーストなら木蓮の墓参りをして、死者を悼んで
鎮魂歌の一つでも歌って帰るべきなのだろう


でも、そんな形式ばったことより、死者を悼むことも
大切なのは判っているのだが
そんなことより


自分は、やりたいことがあった。



自分はプリーストである前に、彼らの友人だから
彼らの悲しみを確認するより
彼らの幸せを探したかった。



「今日から、お二人がご一緒に暮らすって聞いたので、お祝いをお持ちしたんです」



周りが、木蓮の追悼に来ているであろう時期に
そんなずれたことを言うのは
自分ぐらいなものだっただろうけど。
自分でも、分かっていたけれど


だけど、木蓮だって。
自分の死を何度も確認させて辛い思いをさせるより、これからの二人を、応援してあげてくれって、きっとそう言うと思うから。



そっと、零音の膝の上に載せたのはアルシェのプレゼントボックス。
アシェの瞳のような青い包装紙に、グリーンのリボンで綺麗に飾られたそれを渡しながら
「何かの記念のときに、空けてください」
零音とニーはソレを見てアシェの顔を見れば、零音は小さく首をかしげ


<こんな、貴重なの。あけられないよゲインさんにわたしたら
ゆっつくり、たどたどしく、文字盤をなぞる。
零音の文字盤の会話にアシェは首を横に振って
「零音にあげたいの、もらって
柔らかい笑顔で、ソレを渡し立ち上がりニーと、零音をみて笑顔で、ふと思いついたように、続ける。
「あ、そうだ僕の誕生日に、ゲインが苔桃パイやいてくれるって約束してるからそのときは二人とも来てくれる
半年以上先だけど」
日溜りのような笑顔で、零音とニーに向けて微笑めば、零音もつられて笑い
<そのときは、私もアシェに何か作るよリクエストして
ゆっくりと文字盤をさす。


零音の言葉に頷きながら
「じゃあ決まったらいうね、零音のごはんなんでも美味しいから悩むなあ」
又ね
と、手を振って、アシェはそのまま、二人の家を後にした。
窓辺に立てば、夕日に照らされながら、帰路へ向かうアシェの姿が見える。


ニーは、立ち去るアシェの後姿が見えなくなるまで見送りながら
「アシェさんは、俺達の先のことを見てくれてるんだな」
ポツリと呟いた。
その声には嬉しそうな響が含まれており、零音を見つめる
そして、その左手は、そっと零音を抱きよせて、頬にキスをすれば、零音の頬はしっとりと濡れていた。


「零音
ニーが、零音の顔を覗き込めば零音はアシェのもって来たプレゼントボックスに額を押し付けて
目じりから幾粒もの透明な雫が、零れ落ち。
震える指で文字盤をなぞる。


<私は、兄さんをを死なせて生きながらえて、ニーと幸せになろうとしてて、嬉しいけど。
許されないとおもっていたのに、申し訳なさで、いっぱいだったのに、アシェは、祝ってくれるんだね……>


ニーは、そのゆっくりな会話に、静かに頷きながら、零音の髪をなぜる。
零音はニーをみあげて、微笑み、ゆっくりと文字盤をさし
<明日から、左手のリハビリするよ、半年後にはアシェに美味しい料理を作ってあげなきゃならないし>
「そうだな、随分楽しみにしてくれてるしな」
二人に笑顔が戻り、漸くささやかながら、幸せに向かって少しずつ向かっていくところだった。



悲劇が起きたのは、半年後。



明け方に、見た不思議な夢。
暗くて寂しい、石造りの古い建物の中でアシェが一人で泣いてる。
(どうしたの。アシェ、又一人で眠れないの
私は、近づいてアシェのその柔らかい髪をなぜたいのに、いくら歩を進めても近寄れない
(アシェ私はここにいるよ!泣かないで
何度も、そう叫んだはずなのに、アシェの耳には届かないのか、ただ蹲って泣いていた


「零音零音…大丈夫か
「……っ!!!
ニーの声と、揺さぶられる感覚に、はっとして眼を開ける。
「どうした随分うなされてたけど……」
脂汗で、前髪が張り付いた額をぬぐってくれながら、ニーは心配そうに私の顔を覗いていた
<大丈夫…嫌な夢を見ただけだから…>
ニーに心配をかけまいと、傍らの文字盤を指すが、その指は小さく震えていた。


(リアルな夢…
アシェが一人で泣くなんて。
ゲインさんが無事で戻ってくればいいけれど。)



私は、ゲインさんの無事を願った。


だけど、悲劇は思いもよらないところで起きていたんだ。



小さな異変に気がついたのは零音だった、チェストの上にいつも置いてあるプレゼントボックスのリボンが、解けていた。
零音がソレを見つけ、車椅子でゆっくりと、ソレを手に取ると



『名無しのプレゼントボックス』


ガタンッ!!!



大きな音を立てて、零音が車椅子から倒れ、落ちる。
その音を聞いて、台所で昼食を作っていたニーが駆け寄れば
蒼白な顔の零音が、床に倒れていた。
「零音?!どうした具合が悪くなったのか
慌てて、抱き起こし、額に手を当てようとすれば、力の入らない左手で、ニーの腕を振り払う
そして、震える指で、転がったプレゼントボックスを指差し、ニーにしがみ付く


ニーはソレを見て、零音を抱え上げ
ゲインとアシェの家に向かった。



ゲインと、アシェの家は暗く、明かり一つついていなかった
「二人で出かけてるのか?


いつも、もしものときのためにと、お互いに預けあってるスペアキーで中に入ろうとすれば、鍵は開いており
乱れて落ちたシーツと、殆ど中身のはいっていない回復剤の袋が残されていた
ニーは眉根を寄せながら、明かりをつけ、手じかな椅子に零音を据わらせ、中を探してみる


「ゲインはいったん帰ってきたみたいだな」
ニーと零音はゲインとアシェが戻るまで、二人の家で待つ事にした。
ゲインが戻ったのは次の日の明け方だった。
血まみれの鎧で、扉を開け
ニーと零音を見れば
「着てたのか…」


と、力なく笑う。
「ゲイン怪我してるのか」
ニーが側までより、零音は心配そうに見つめる
ゲインは首を振り、ニーに支えられるようにして、その場に崩れ座り込む。



「アシェが………死んだ…」





冷たい寝台の上に横たわるアシェの身体、真紅に染まった髪や、顔は今は綺麗にされていて、両の手を組み合わせて胸に置かれている以外は、眠っているようだった。
ニーは私をアシェの直ぐ傍らまで連れていき、椅子を引き寄せて座らせてくれた。
これは、何


事態が直ぐには飲み込めない、アシェが亡くなったとゲインから聞いても、何処か信じられなかった。
アシェの誕生日に、二人が質の悪い冗談を企画してるんだと、思いたかった。
教会に連れてこられ、安置所の扉を開く瞬間まで、何処からかアシェが、何時もの笑顔で自分の名前を呼んでくれるような気がしていた。


茫然と、アシェを見つめ、ゆっくりと震える左手でアシェの手に触れる。何時もより、冷たい手、白い肌、動かない睫毛。
ボロボロと両目から涙が零れ落ちる。


暫くして、ハイプリーストさんが部屋にやってきて、一抱えある木の箱をもち、アシェの頭上に据えられた棚の、花の横に置き、頭を下げ出ていった。


コトンと、木の箱が置かれる音が、静かな霊暗室に響く。


いつも、一人で眠れないとゲインが遠征に行くときは、家に泊まりに着て私のベットで一緒に眠った。
一度だけ、ゲインが長期の遠征でアシェが泊まりに来なかった事があった。
私達がそれを知ったのはニーがプロンテラ城に出掛け、騎士団で話を聞いたとき。
ゲインが出掛けて三日にもなっていただろうか
ニーと二人の家を尋ねれば、ゲインの部屋でシーツにくるまって、窓際に座って泣いているアシェがいた。〈どうして、ゲインさんが居ないときは、家に来ないの?!
私が、怒りながら文字盤を叩けば
『ごめんね、零音。だって今回はすごく長いって言ってたから、二人に迷惑かけたくなくて……』


真っ赤に腫れた目で、そう笑うアシェをニーはベットに放り込み、私はそのベットに寝かせてもらって、その白い手を取ってキスして抱き締めた。
暫くして、聞こえはじめた安心した寝息。
私はアシェに必要とされていたんだよね
気を遣わせてごめんね、気が付かなくてごめんね。


柔らで暖かなアシェの手を握りながら、その寝顔を見つめた、あの日。



あの日のように、その手を取ってキスをした。
あの日と違うのは、アシェの手に体温が無いこと。
「……ぇ」
アシェの名前を呼んだつもりだった、声の出ない自分の声帯。
昔のように呼べば、答えてくれるかもしれない。
「っ……ぇごほっえほっ
だけど、音は出ずに引きつった声帯は無理をしたせいで裂けて、真っ白なアシェの手を汚してしまう。
「零音無理して声を出すな……
それを見たニーが、私が声を出そうとするのを、後ろから抱き止めて辞めさせようとする。
「げほんっ……っぇっ!!
血を吐きながら、引き離そうとするニーを睨み。
ニーは私を見て、宥めるように背中をなでて。
「零音、かえるか
問いかけるニーを睨み付け、文字盤を叩く
〈嫌だアシェ、一人で寝れないんだよだから傍に居て上げないとっ……
ニーが私を抱きしめる。
私は……


音の出ない声で泣き喚いた



神様
どうして、私が生きてるのに
私の大事な人は逝ってしまうんですか?


ここは神様に一番近い場所なのに
アシェは何も悪い事はしてないんです
あんなに、いい人なのに



返してください
彼は、皆に必要な人なんです
どうしても連れて行くのなら
私を連れて行って



声にならない声で何度も叫び
息を切らせながら、漸く落ち着いたころ
ニーが背中をナゼながら私を抱きしめていた。


ずっと、そうしてくれていたんだろうに、どれ程そうしてくれていたのか
自分には記憶は無かった


只、喉が焼けるように痛くて
ニーを見上げれば、そっと水の入ったコップを口元に添えてくれた




カタン。



と、響く音で、音のしたほうを見れば




ゲインが先ほどの木箱を開けていた。


アシェが愛用していた、黒と緋の法衣
最後に来ていた、ソレをゲインが抱きしめるのを見て
ああ…アシェは本当に戻ってこないだと、実感した。


その法衣の背中部分が、大きく切り裂かれ、腹部に大きな穴が開いているのが見えたとき
気を失ったんだとおもう。



何日も高熱にうなされて、ニーの手を握って
うなされてる間に
何度か、アシェの幻を見たような気がして
ああ…あの出来事は夢だったのか
と、安心しながらも
夢じゃないよと、警鐘のように誰かが囁く声に悩まされながら





数日後。
漸く床から上がる事が出来た私は
そっと、枕元においた、名前の無くなったプレゼントボックスに触れる。
数日振りにベットに起き上がった私を見て、ニーが駆け寄ってきた
「もう、大丈夫か零音」
小さく頷き、傍らの文字盤をさす


<アシェの、お墓参りにいきたい>



晴れた、風も穏やかな休日
教会でミサが終わったのだろうか
静かに鐘が鳴り響いていた
私は小さな白い墓石の前に降ろしてもらった
今日は黒の上下に黒のネクタイ
ニーも同じような格好をしている。


墓石には
アルシェ
とだけ彫られていた。


墓石の前に、ニーが白い百合の花を添える
アシェのようだと、私が選んだものだった
(アシェ…)


墓石の前で、青い包装紙に包まれた箱を持ちながら思う
(記念っていうわけじゃないけれど、折角アシェに貰ったプレゼントボックスだから、アシェの前であけたくて、あの時
アシェがこれを持って来てくれて、励ましてくれて嬉しかった、ありがとう、開けるね
するりと、色あせた緑のリボンを引き抜き、青い包装紙をほぐせば、白い箱が見える、その蓋をそっと開ければ
コールドボルトのスクロールが内側に貼り付けられていて


中には、タンポポのブーケ
黄色と白とピンクのタンポポ
二人を祝福するブーケが腐らずに入れられていた


ニーと顔を見合わせれば、スクロールが消えて、ブーケは一気に色あせて
箱の中にはアシェの髪のような銀色の綿帽子が詰め合わせのように、収まっている。


「これが、アシェの贈り物…」


ニーが呟くと、ふわり優しい風が吹き
箱の中の綿帽子を巻き上げ、空に舞い上がっていった
小さな種をつけた綿帽子は高く高く
優しいプリーストの瞳のような空の中に吸い込まれて


私は、傍らのニーの手のひらに書く
<ね、ニー蒲公英の花言葉ってしってる
ニーは小さく首を横に振る


<黄色と白は、真心の愛、ピンクはね温かな心っていうんだよ>
(アシェは沢山の幸せを教えてくれたよ、貴方のくれたこの蒲公英の綿毛は、きっとずっと遠くまで運ばれていく
アシェがくれた温かな気持ちの種が私の胸に舞い降りたように、だから…………


ありがとう、あの日、貴方が私に手を指し延ばして癒した傷は、コボルトに負わされた傷だけじゃなかった
ありがとう、あの時、貴方が私を必要としてくれたから、私は自分を好きになれた
ありがとう、あの瞬間に、貴方が私に生きていて良いといってくれた。



ありがとう ありがとう


貴方が生まれてきてくれたこと)


<ニー…>
私の指がニーの指に文字を綴る


<アシェに関わった人には、幸せの種が届いていたよね
ニーは頷き、答えてくれた
「ああ、きっとこれからも…」


銀色に光る綿帽子が、全て見えなくなるまで、私達は空を見あげていた


ふと、ニーが私を抱き寄せ
そっと、わたしの目尻にキスをした
きずかずに、私がこぼした涙を
ニーは、そっと唇でぬぐい、キスをする。






(アシェ、又いつかどこか出会おうね


・・・・・・・・・・・・・・・・・


何のかんのいって
いろんなところでアシェの名前が出てくるので
随分昔のお話なのですが実は再転載です


アシェというキャラクターは私の中ではいろいろと不思議な子で
せくらとは別の意味で大好きです

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